快進撃を続ける藤井聡太四段
体調を崩してちょっと入院していたので、しばらくブログの更新が止まっていたけど、ようやく体調も回復して退院できたので、またボチボチと書いて行こうと思う。病室にはノートPCを持ち込んでいたので、無理をすればブログを書くこともできたんだけど、今回は両目の視点が合わなくなる症状が出ていて、文字を読んだり書いたりするためには両目に力を入れないと視点が定まらなくて、この状態でいると10分ほどで激しい頭痛に襲われたので、大好きな文庫本を読むこともできなかった。
で、入院中の退屈な時間に何をしてたのかと言うと、主にラジコでラジオを聴いていたんだけど、あとは、ノートPCで将棋をしていた。中学2年生で14歳のプロ棋士、藤井聡太四段の快進撃で、世の中はほんのりと将棋ブームが到来しているので、いつもなら麻雀か花札の「こいこい」で遊ぶところだけど、今回は久しぶりに将棋を楽しんでいた。
あたしは、麻雀や花札はけっこう得意なんだけど、将棋はまったくのヘボで、ルールすらもアヤフヤだった。今までは、弱くても駒の動かし方やルールは分かっているつもりだったけど、今回の入院中に遊んでいたコンピューター将棋で、最後に相手の玉の前に歩を打って詰んだら、「打ち歩詰めのため、あなたの負けです」と表示されたので、「なんだそれ?」と思い、検索して調べたら、歩を打って玉を詰めるのは「禁じ手」で、これをやると反則負けになるという。
あたしは「二歩」は知っていたけど、「打ち歩詰め」なんて初耳だった。将棋をやっている人なら知っていて当然で、野球で言えば「打者はバッターボックスから足を出して打ってはいけない」というレベルのルールだと思うけど、あたしは、初めて将棋を覚えてから2~30年、こんなルールがあることをぜんぜん知らなかった。それは、ちゃんと将棋のルールを知っている人と対局したことがほとんどなく、たまに気が向いた時にコンピューター将棋で遊んでいただけだからだと思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、あたしの将棋のレベルはこんなもんだから、当然のことながら戦法もほとんど知らない。あたしの遊んでいるコンピューター将棋は強さが10段階なんだけど、レベル4が飛車角落ちで、レベル5から上が平手戦になる。それで、平手戦で一番弱いレベル5なら、あたしの得意な「ゴキゲン中飛車」でガンガン攻めれば9割方は勝てるんだけど、レベル6になると相手の打ち方で2回に1回は「ゴキゲン中飛車」が使えなくなるので、「四間飛車」で時間を掛けて攻めるしかなくなり、あたしの勝率は7割くらいに落ちてしまう。
あたしは、この2種類の戦法しか知らないから、その上のレベル7になると、10回やっても2~3回しか勝てなくなり、レベル8では1回も勝てたことがない。もっと他の戦法をマスターしないと太刀打ちできないのは分かっているんだけど、あたしの脳みそは複雑すぎることを覚えるのに向いていないみたいで、なかなか覚えることができない。今、唯一の得意技と言ってもいい「ゴキゲン中飛車」にしても、今のようにサクサクと使えるようになるまでには1年以上も掛かっている。
だけど、最初にコンピューター将棋を始めたころは、駒の動かし方を知っていただけで、戦法なんて何も知らなかったから、飛車角落ちのレベル4でも、なかなか勝てなかった。あたしの脳みそでは、2手先くらいまで考えるのが精いっぱいだったから、先のことを考えずに、たくさん動けて便利な飛車と角で攻めて行くと、あっと言う間に取られてしまい、その飛車や角であたしが攻められてばかりだった。
それで、必死になって基本的な囲い方や飛車の振り方を勉強して、平手戦でも最低レベルなら何とか勝てるようになったんだけど、あたしとしては、もうこれだけでも楽しいから、取りあえずは満足している。飛車角落ちだと、いくら連戦連勝しても「ハンデをもらっている」という引け目があるから素直には喜べないけど、いくら最低レベルだとは言え、このあたしが平手戦で9割方は勝てるようになるなんて、これは凄いことなのだ。
今回の入院中には、藤井聡太四段が25連勝をして、あと3局勝てば、神谷広志八段が30年前に達成した「28連勝」という日本記録に並ぶというニュースがあった。そこで、あたしは、あたしでも9割方は勝てるコンピューター将棋のレベル5の平手戦で藤井四段の連勝記録を破ろうと思い、病院のベッドで対局を始めた。
あたしの「9割方は勝てる」というのは、別に勝ち負けにこだわらないで遊んでいるからだ。たとえば、手持ちの駒で簡単に詰むことができる状態になっても、手持ちの駒を使わずに、盤面にある駒だけで詰むように差してみたりしているため、うっかりミスで負けてしまうことがあるのだ。だから、こうした「お遊び」をしないで差せば、ほとんど負けることはない。
そして、あたしは、5連勝、10連勝、15連勝と勝ち続け、ついに藤井四段の当時の25連勝に並び、さらに勝ち続け、ついに30連勝を達成したのだ!これで、あたしが日本新記録を樹立したことになる!‥‥なんて遊んでいるうちに、体調も回復して、やっと退院できたというワケだ。
‥‥そんなワケで、先日まで「打ち歩詰め」も知らなかったドシロートのあたしのコンピューター将棋の連勝記録と、大天才の藤井四段のちゃんとした公式戦での連勝記録を比較することなんてできないけど、藤井四段は、この他にも、AbemaTVで行なわれた非公式戦「炎の七番勝負」で、羽生善治三冠を破っているのだ。
羽生善治三冠と言えば、絶対王者であり、現役では日本一の棋士だ。しばらく前のTBSラジオ「日曜サンデー」で、爆笑問題の田中さんが羽生三冠と将棋対決をした時の話をしていたけど、田中さんの陣地にはすべての駒が並んでいるのに対して、羽生三冠の陣地には玉ひとつだけで他の駒は何もなく、手に歩を4枚持っているだけ。田中さんは「いくら何でも、これじゃあ自分が勝ってしまうかもしれない。そうしたら番組的にまずいことになるな」と思ったそうだ。だけど、対局が始まったら、あっと言う間に負けてしまったという。
いくらシロートとは言っても、すべての駒を持っている相手に対して、自分は玉ひとつだけで、手に歩を4枚持っているだけで簡単に勝ってしまうなんて、あまりにも凄すぎる。そして、そんな羽生三冠を平手戦で破ってしまった藤井四段の凄さと言ったら、思わずクリアファイルを買ってしまいそうになるほどの破壊力だ。まだ14歳なのに、一体どうしたらこんなに凄くなれるのだろうか?
藤井聡太四段は、5歳の時におばあちゃんから将棋を教わったそうだ。それから将棋に夢中になり、2011年には「全国小学生倉敷王将戦」の低学年の部で優勝したという。小学生の時からずっと将棋に夢中で、テレビはほとんど観ていないため、知っている芸能人はタモリと和田アキ子の2人だけだと言う。小学校の時に同級生たちが志村けんのテレビ番組の話題で盛り上がっていた時に、「志村けんって誰?歴史上の人物?」と聞いて、同級生たちを呆れさせたという。
中学2年生の男の子と言えば、普通はAKBだの乃木坂だのとアイドルに夢中になっている年齢だと思うし、夢中になっていなくても、こうしたアイドルを始め、お笑い芸人など、多くの芸能人の名前を知っているだろう。それが、タモリと和田アキ子の2人だけしか知らないなんて、逆に凄いと思った。だって、たとえテレビを観ない生活をしていたとしても、普通に生きていれば、いろいろな方面から必要としない情報が入ってくるため、知らず知らずのうちに、人気のアイドルやお笑い芸人などを知ることになるからだ。
あたしの場合、テレビのない生活を始めて5年目なので、今、インターネットでテレビのバラエティー番組などを観ると、5年以上前からテレビによく出ていたお笑い芸人やタレントなら分かるけど、ここ5年以内にテレビに出るようになったお笑い芸人やタレントは、ほとんど分からない。でも、ラジオは聴いているし、雑誌も読んでいるし、何よりもインターネットで情報収集をしているから、詳細までは知らなくても、顔と名前くらいは分かる芸能人がたくさんいる。
でも、もしもあたしが将棋に夢中で、将棋以外のことにはまったく興味を持たなかったとしたら、テレビよりもラジオよりも将棋を優先するだろうし、雑誌は将棋雑誌しか読まないだろうし、インターネットも将棋のためにしか使わないと思う。そして、そんな生活を続けていたら、芸能界なんて最も「どうでもいい世界」になり、そこで生きている人たちなんて、別の惑星に住んでいる宇宙人みたいな存在になってしまうと思う。
だけど、あたしなんかがいくらテレビも観ずに将棋だけしていたとしても、それだけでプロになれるワケはないし、ましてや公式戦で連勝することなんてできるワケがない。藤井四段の場合は、きっと、生まれ持った天才的な才能と、それを上回るほどの努力があってのことだと思う。そして、まだ14歳だと思うと、ホントに末恐ろしくなってくる。
‥‥そんなワケで、今回、あたしが何よりも凄いと感じたのは、やっぱり藤井聡太四段の年齢だ。だって、5歳の時におばあちゃんから将棋を教わったということは、藤井四段は、将棋と出会ってから、まだ9年しか経っていないのだ。それなのに、プロになったのも凄いけど、このブログを書いている時点で公式戦で無敗の26連勝で、日本一の羽生三冠にも勝ってしまっただなんて、ちょっと考えられない。ちなみに、羽生三冠は、小学1年生の時に将棋を始めて、15歳の中学3年生でプロ棋士になったので、プロになるまでの年月はほとんど同じだ。だから、このまま藤井四段が成長して行けば、羽生三冠が達成した「竜王戦」「名人戦」「王位戦」「王座戦」「棋王戦」「王将戦」「棋聖戦」の「七冠独占」を超えて、新しくタイトル戦に格上げされた「叡王(えいおう)戦」も制して、史上初の「八冠独占」も夢じゃないと思う今日この頃なのだ。
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