正義のりっちゃんマン
今から17年前の2000年、当時27歳だったあたしは、『ROOMS(ルームズ)』という携帯サイトで『れいなの楽屋』というHPを運営していた。これは、大好きなMAXのメンバー、ナナ、レイナ、ミーナ、リナの中で、あたしの一番好きなレイナちゃんの名前をつけたHPで、内容は当然、MAXに関することばかり書いていた。
そして、その中の1つのコンテンツとして、あたしは連載小説も書いていた。もちろん、これもMAXのメンバーが登場する小説だったんだけど、当時は携帯電話でインターネットを利用すると恐ろしいほどのパケット通信料、通称「パケ代」が掛かっていて、支払いができなくて携帯電話を止められる「パケ死」という現象が頻発していた。
その上、一度に投稿できるデータ量も小さくて、約500文字が限界だった。こうした、法外に高い通信料と異常に小さいデータ量という二重苦と戦いながら、あたしが書いていた小説『正義のりっちゃんマン』のログが、数日前、奇跡的に発掘されたのだ。そこで、今回は、この『正義のりっちゃんマン』を全編、ここに公開しようと思う。
MAXファンにしか分からないネタが多いけど、すべてを解説するのは大変なので、基本中の基本として、メンバー4人の愛称だけ最初に紹介しておく。ナナは「ナナさん」、レイナは「れいれい」、ミーナは「ミナコ」、リナは「りっちゃん」、これだけ覚えておけば、内容は理解できると思う。それでは、17年前に書いたあたしの処女小説、『正義のりっちゃんマン』をどうぞ♪
『正義のりっちゃんマン』
最終更新日 2001/12/27 読者 4595人
スーパーダンスユニット『MAX』のリナは、世を忍ぶ仮の姿!市民に危機が訪れると、愛と正義の使者『りっちゃんマン』へと変身するのであった!
《第1章》「おじゃぬ伝説」
ここは埼玉県飯能市おぢゃぬ村。日本のアマゾンと呼ばれるこの人里離れた山奥に、恐怖の変態魔神『おぢゃぬ』が眠っている。今から四百年ほど前の慶宝八年、時の将軍家光公の命により、全国から集められた四十八人の剣豪、祈祷師、霊媒師などの協力のもと、都を騒がせていた『おぢゃぬ』は封印されたのだ。
しかし四百年の時の流れは、その封印した祠(ほこら)を少しづつ風化させ、今や結界を結ぶ呪布の力は、当時の半分ほどになっていた。
「うう…う…お…おん…な…女の下着…下着……」
おぢゃぬの怨念は、大きな精神エネルギーの固まりとなり、今にも結界を破ろうとしていた…。
《第2章》「ぱぴぃちゃん」
三市合併に湧く『さいたま市』の真ん中に『日の出女子学園』がある。平校長の自由な教育理念のもと、千人近い女子高生達は、みんな伸び伸びと学園生活を謳歌していた。1年生のぱぴぃちゃんは、先輩達からもかわいがられ、バラ色の日々を送っていた。
今日は春の体育祭、広い校庭いっぱいに女の子達のカン高い歓声が響き渡る。2年生や3年生は思い思いの仮装をして、飛んだり跳ねたりの大騒ぎ。1年生のぱぴぃちゃんのクラスも、先輩達に負けないように、全員で髪をパイナップルみたいにゴムで結んで暴れまわっていた。
《第3章》「おぢゃぬ復活」
ぱぴぃちゃん達が競技の結果に一喜一憂している頃、その歓声は、遥か山奥の『おぢゃぬの祠』まで、春風に乗って届いていたのだ。
「…お…女の…声が…する…」
その瞬間、変態魔神おぢゃぬを封印していた呪布の効力が、ついに消えてしまったのだ。
「うおおおお~!!うがうがうががぁ~!!おっぢゃ~ぬ!!」
ついにおぢゃぬは、四百年の眠りから目を覚まし、変態魔神として復活してしまったのだ。おぢゃぬは、長年自分を苦しめてきた祠を怪力で粉々に破壊して、その姿を現した。体長5mの全身をヌルヌルした緑色の体毛が覆い、女性の下着を狙うその目は、ギラギラと真っ赤に光っていた。
「おぢちゃんとあちょんでぇ~!!」
おぢゃぬは、ひと声叫ぶと、人里を目指し、木をなぎ倒しながら進んで行った。
《第4章》「学園パニック」
山から下りると、パラパラと民家が見えて来た。しかし、おぢゃぬは民家の軒先に干してあるオバチャンの下着には目もくれず、日の出女子学園に向かって、一直線に進んで行った。市内に入ったおぢゃぬは、大きな口を開けると、ムラサキ色の霧を吐き出した。その霧がおぢゃぬの体を包み込むと、だんだんに体の色素が薄くなっていき、ついに透明おぢゃぬになってしまった。こうして変態魔神おぢゃぬは、街の人々に気づかれずに、体育祭で盛り上がる学園の正門へと辿り着いたのだ。
「キャーッ!!」
突然、ものすごい悲鳴が起こった。なんと、一人の女子高生のブラジャーが抜き取られ、チョウチョのようにヒラヒラと空中を飛んでいる。
「キャーッ!!」
「イヤーッ!!」
あちこちで悲鳴が上がり、次々とパンティーやブラジャーが抜き取られていく。逃げまどう生徒達、乱舞する下着、学園は一瞬のうちにパニックになってしまった。
《第5章》「芝浦スタジオ」
ちょうどその頃、MAXの4人は、ここベイエリアの山田倉庫にある芝浦スタジオで、夏の全国ツアーに向けてのリハを行なっていた。朝から苦労していたメドレーのダンスもほぼ完成し、りっちゃんとナナさんの二人は、スタジオの外に出て、差し入れのスタバのアイスラテを飲みながら、ひと息入れていた。頭上には巨大なレインボーブリッジが架かり、行き交う船の上をユリカモメが飛んでいる。
「りっちゃ~ん、鳥がたくさん飛んでるねぇ~何の鳥かなぁ?」
「ナナさん、あれはハトだよぉ~豆でも投げてみよぉか?」
…相変わらずの二人である(キートン山田)
二人はストローを口にくわえたまま、しばらくボーッとしていた。すると突然りっちゃんが言った。
「誰かが助けを呼んでる!!」
《第6章》「飛べ!!りっちゃん」
「誰か助けてーっ!!」
ぱぴぃちゃんの叫び声は、東京を縦断し、りっちゃんの耳に届いたのだった。
「誰かが助けを呼んでる!行かなくちゃ!!」
りっちゃんは両手を広げ、パタパタと羽ばたき始めた。ナナさんが言った。「りっちゃん!何か巨大で邪悪なエネルギーを感じるの!気をつけてね!」
「大丈夫よ!りっちゃんに任せて!」
りっちゃんの体が七色に輝き出し、静かに空へと浮かんで行く。
「がんばってね!!」
「うん!」
必死で両手をパタパタするわりには、りっちゃんはなかなか進まない。そう!りっちゃんマンは、最近マックが半額なので毎日フィレオフィシュを食べすぎていて、体重が増えてしまっていたのだ!(笑)
間に合うのか、りっちゃんマン!埼玉は遠いぞ!!
《第7章》「ぱぴぃちゃん危機一髪」
「うれしいぢょ~♪しあわせだぢょ~♪おぢゃぢゃぢゃぢゃぢゃ♪」
ムラサキの霧の効果も消え、そのおぞましい姿を現した変態魔神おぢゃぬは、数百枚の色とりどりの下着に囲まれて狂喜乱舞していた。
「…でもまだ足りないぢょ~!!」
その真っ赤な目が、校庭の隅で恐怖に動けなくなっていたぱぴぃちゃんを捕らえた。
「ぐひひひひひ…」
全身に下着を貼りつけたおぢゃぬは、一歩、また一歩と、ぱぴぃちゃんに近づいて行く。ぱぴぃちゃんは、ガタガタと震えながら後ずさりしたが、フェンス際まで追い詰められてしまい、もう逃げ場が無い。そしておぢゃぬがニヤリと笑った。その口から、シュルシュルと緑色の長い舌が、ヘビのように伸び始め、ぱぴぃちゃんに迫る。ぱぴぃちゃんは目に涙を溜めながら、最後の力を振り絞って叫んだ。
「誰か助けてーっ!!」
《第8章》「急げ!りっちゃん」
その頃りっちゃんマンは、まだ池袋の上空あたりを飛んでいた(笑)他のヒーローと違い、りっちゃんマンは、立った姿勢のまま両手をパタパタさせて飛ぶので、どことなく緊張感に欠ける。そして何より、遅い!遥か眼下の商店街を買物のオバサンの自転車が追い越して行く。それでも必死で羽ばたくりっちゃんマン!…西武池袋線を使ったほうがマシである(キートン山田)急げ、りっちゃんマン!時間が無いぞ!その時、奇妙なカッコで飛ぶりっちゃんマンに好奇心を持ち、芝浦からついて来たカモメの群れが近づいて来た。りっちゃんマンは、あっと言う間にカモメの群れに囲まれてしまった。
「パタパタしてもイルカは寄って来ないのに、ハトはたくさん集まって来るのねぇ」
のん気なことを言っていると、
「痛い!」
一羽のカモメがエサと間違えて、りっちゃんマンのお尻を突っついた。
「キャーっ!痛いよぉ!りっちゃんはエサじゃないよぉ!ハトは豆食べろよぉ!」
《第9章》「りっちゃんマン見参!」
「おぢゃぢゃぢゃぢゃぢゃ~!!」
ネバゴナ…じゃない、ネバネバした緑色の舌は、1m2mと伸びて行き、ぱぴぃちゃんまで、あと僅かのところまで迫っていた。
「キャー!!」
おぢゃぬの舌の先が、ぱぴぃちゃんのエリから侵入しようとした、その時である。ヒューーーーッ‥‥‥‥ドス~ン!!
「おぢゃあ!!痛たたたたぁ!!」
おぢゃぬの舌の上に、りっちゃんマンが、お尻から落ちて来た!!そう!りっちゃんマンは、カモメ達に突っつかれて、知らず知らずのうちに加速していたのだ。
「痛~い!サイアクぅ~!」
りっちゃんマンは、お尻をさすりながら立ち上がった。
「わ~ん!りっちゃんマ~ン!あの怪物をやっつけて~!」
泣き叫ぶぱぴぃちゃんを守るように立ちはだかると、りっちゃんマンは、変態魔神おぢゃぬに言った。
「タカタタンタタ~ン♪愛と正義の使者、りっちゃんマン見参!!」
…SEも自前のりっちゃんマンであった。(キートン山田)
《第10章》「危うし!りっちゃんマン」
しばらく睨み合いが続いたあと、りっちゃんマンが先に攻撃を仕掛けた。
「アロエビーム!!」
体内に蓄積されたアロエヨーグルトのビフィズス菌をクロスした腕から発射した!!
「下着~バリヤ~!!」
おぢゃぬは、体中に貼りついた下着で壁を作り、アロエビームをはね返した!!今度は、おぢゃぬの攻撃だ!!
「粗品アターック!!」
おぢゃぬの口から、ひと口サイズのウインナーが次々と飛び出して来る!!
「ブルブルダーンス!!」
りっちゃんマンは、水浴びのあとの犬のように体をブルブルと震わせ、粗品の攻撃をはね返した!!その瞬間、ニョロニョロと伸びて来たおぢゃぬの舌が、りっちゃんマンの首に巻きついた!!
「う‥うう‥‥」
りっちゃんマンは、動きを封じられてしまった。緑色の舌は、りっちゃんマンの首から服の中に入って行く!!
「うう‥‥」
緑色の舌の先は、りっちゃんマンのブラジャーに近づいて来た。
「キャ~~!!」
《第11章》「毒には毒を?」
りっちゃんマンのブラに、おぢゃぬの舌が巻きついた。そして一気に抜き取りにかかった。
「おぢゃ?おかしいぢょ~?外れないぢょ~?」
ここでは説明を省くが、りっちゃんマンは『オールウェイズ・ブラ』に続くワコールの新製品、無敵の『パーフェクト・ブラ』を着用していたのだった。おぢゃぬの動きが止まった一瞬のスキをつき、りっちゃんマンは反撃に転じた。
「毒を制すには毒しかないわ!!」
りっちゃんマンは、おもむろにヨガのポーズを組み、瞑想に入った。全身の『気』をチャクラに集中し、体内の毒素を集めたのだ。
「ウルトラ稲葉ビーズ!!」
…ビームの間違えではない。ビーズでいいのである(キートン山田)
りっちゃんマンは、おぢゃぬに向けて、諏訪湖の湖畔の間欠泉のように、鼻の穴から黒い液体を噴射した!
「おぢゃあぁぁぁ!!」
しばらくすると、おぢゃぬは動かなくなった。
「やったぁ~!!」
りっちゃんマンは勝利を確信した。しかしその時!
《第12章》「スーパーおぢゃぬマン!!」
「りっちゃんマン!見て~っ!!」
ぱぴぃちゃんが叫んだ。なんと、黒い鼻水を浴びて倒れていたおぢゃぬの体が、どんどんふくらみ始めたのだ。
「…お…おぢゃ…おぢゃあ…」
「大変!逆効果だったみた~い!」
「…ぐふふふふ…スーパーおぢゃ~ぬマ~ン!!」
りっちゃんマンの前に、3倍の大きさになったおぢゃぬが立ち上がった。スーパーおぢゃぬマンは、体中から無数の触手を伸ばし始めた。
「大きくなったぢょ~♪もぉ粗品とは呼ばせないぢょ~♪」
無数の触手が、逃げまどう生徒達を追う。
「ゴーヤーブーメラーン!!」
りっちゃんマンは、唯一の飛び道具を放ったが、パワーアップしたおぢゃぬには通用しなかった。
「痛くもカユくもないぢょ~♪どっちかって言ったら気持ちいいぢょ~♪」
おぢゃぬはヘラヘラと笑い出した。
「まずいよぉ~!これじゃあ勝ち目がないじゃ~ん!!」
りっちゃんマン、危うし!…と、その時である。
「りっちゃ~~~~ん!!」
《第13章》「ナナさんマン」
校庭に砂ぼこりを巻き上げながら、1頭の馬がこちらに向かって走って来る。名馬『リナモンティ』にまたがった『ナナさんマン』だっ!!
「りっちゃん!大丈夫?助けに来たよ~!」
「あれ?ナナさん、奇遇だねぇ最近よく会うねぇ」
「偶然だね?よく会うよね?って、そんなワケないじゃない!!」
…相変わらずの二人である(キートン山田)
スーパーおぢゃぬマンは、こんな二人には目もくれず、数百本の触手を使い、女子高生を追いかけ回していた。
「りっちゃん!敵はアイツね?ここはナナに任せて!」
ナナさんマンは、腰のところで両手を合わせ、体中の気を送り込んだ。ぱぴぃちゃんが叫んだ。
「カメハメ波ね!」
ナナさんマンの気が頂点に達した!
「カァ~~~‥‥」
いよいよか?‥‥
「ふぅ~まだ『カ』しかできないの♪」
ドッカ~~~ン!!おぢゃぬは出川哲郎バリのリアクションでコケてくれた。…多少のダメージは、あったようだ(キートン山田)
《第14章》「りっちゃんナナさん大ピンチ」
その時である!倒れたおぢゃぬの体から2本の触手が伸びて来て、りっちゃんマンとナナさんマンに巻きついた。
「く…苦しい…」
絶対絶命だぁ!!
そのころ芝浦スタジオでは、ダンスソロの練習を終えたれいなちゃんとミナちゃんが、カントリーマァムの最後の1個を奪い合っていた(笑)
「れいな昨日ギンギラで確変引いたんだからいいじゃん!!」
「ミナコだって3000円のパッキー1枚で単発2回引いてたじゃん!!レレはパッキー3枚使ったんだよぉ!!」
…どっちもどっちである(キートン山田)
「ミナコぉ~そぉ言えばナナさんとりっちゃんは?」
その時、りっちゃんのテレパシーが届いた!
「…れいなっ!大変っ!二人が助けを呼んでるよ!!すぐに行かなくちゃ!!」 おぢゃぬは触手から、二人のエネルギーを吸い取っていた。
「…ナナさん…体が…動かない…」
「…りっちゃん…がんばっ…て…」
《第15章》「れいれいマン&ミナコマン」
他の生徒達と一緒に、校庭の屏の外側に身を隠していたぱぴぃちゃんが、悲痛な叫び声を上げた。
「りっちゃんマ~ン!!ナナさんマ~ン!!」
その頃、れいれいマンとミナコマンは、モタモタと衣装に着替えていた。
「ミナコぉ~ナナさん達、たしかブルーだったよねぇ?」
「うん、だからミナ達はピンクだよぉ~♪」
「マキさ~ん!メークお願~い♪」
「れいなぁ~スタバ寄ってこぉ♪」
彼女達の出身地『沖縄』には、待ち合わせに3時間以上遅れるのは当り前と言う『沖縄タイム』が存在するのだ。
「おぢゃぢゃぢゃおぢゃ~ぬ!!」
スーパーおぢゃぬマンは歓喜のオタケビを上げ、数百本の触手の先に、万国旗のごとく、色とりどりの下着をはためかせた。…ある意味、体育祭的ではある(キートン山田)
れいれいマンとミナコマンは、アイスラテを飲みながら空を飛んでいた。
「ミナコぉなんかぁナナさん達のテレパシー途切れ途切れになってきたねぇ」
《第16章》「W・アタック」
「れいなっ!あそこよっ!」
やっと辿り着いたミナコマンは、上空から日の出女子学園を指差した。
「おぢゃぢゃぢゃ~♪粗品もパワーアップしたぢょ~♪」
校庭の真ん中では、またひと回り大きくなったスーパーおぢゃぬマンが、新たな獲物を物色していた。そして、エネルギーを吸い取られてしまったりっちゃんマンとナナさんマンは、すでに立ち上がることもできなくなっていた。
「ミナコっ!いくよっ!!」
「オッケーっ!」
二人は、おぢゃぬの前に降り立った。
「おぢゃ?またかわいい子が来たぢょ~エキスを吸い取るぢょ~♪」
おぢゃぬの触手が二人に襲いかかる。その触手をかいくぐり、れいれいマンが攻撃を仕掛けた。
「朝帰りアターック!!」
続いてミナコマンも行った。
「丸顔ビーム!!」
二人の攻撃を受け、おぢゃぬの動きが止まった。
《第17章》「MAX全滅?」
「ミナコぉ!チャンスよ!」
「うん!』」
二人は並んで両手を前に突き出した。
「ベルファーレ・フラッ~シュ!!」
二人の手のひらから発射した虹色の光線が、扇型におぢゃぬを包み込む。これは、敵の知能をすべて吸い取り、頭をカラッポにしてしまう、恐ろしいワザである。しかしおぢゃぬは、平然としている。
「何ともないぢょ?」
…おぢゃぬには、もともと知能が無かったのである。(キートン山田)
その瞬間、シュルシュルと伸びて来た触手が、二人の体に巻きついた。
「あっ!」
「キャーッ!!」
一瞬のうちに、二人とも手足の自由を奪われてしまった。そして、エネルギーがどんどん吸い取られていく。
「れ…れいな…」
「…ミ…ナコ…」
バタッ…力尽きたれいれいマンとミナコマンは、りっちゃんマンとナナさんマンの上に重なるように倒れ込んだ。
「おっぢゃぁぁぁ~ぬ!!」
その頭上には、勝利のオタケビを上げるスーパーおぢゃぬマンの姿があった。
《第18章》「Noboundly」
その時、屏の隙間から見守っていたぱぴぃちゃんが、泣きながら叫んだ。
「りっちゃ~ん!!」
すると、倒れていたりっちゃんマンの指先が、ピクッと動いた!今度は、他の生徒が叫んだ。
「ナナさ~ん!!」
ナナさんマンの瞼が、かすかに開いた!堰を切ったように、屏の向こうから、千人の生徒達が叫び出した。
「れいれ~い!!」
「ミナちゃ~ん!!」
やがて、その叫び声は、ひとつの大きなエネルギーとなり、校庭に響き渡り始めた。
「うぉ!うぉ!うぉ!うぉ!うぉ!うぉ!うぉ!うぉ…」
その声援に包まれて、4人は手を取り合い、ヨロヨロと立ち上がった!その瞬間、MAXと生徒達の間にあった屏が、ガラガラと音をたてて崩れ去った。
「Noboundlyね!」
りっちゃんマンが言った。
「よし!みんなぁ!行くよぉ!」
ナナさんマンが叫んだ。
《題19章》「愛のパワー」
「お~ぢゃ~ぬぅぅぅ~~~!!」
数百枚の女子高生の下着と、MAX4人のエネルギーで、スーパーおぢゃぬマンは最大パワーを手に入れていた。そして、不敵な笑みを浮かべ、4人の前に立ちはだかった。ナース担当のミナコマンが言った。
「もぉ私達に残された武器は笑顔だけよ!最後まで笑顔を忘れずに闘お~ね!!」
「うん!」
4人は手を繋ぎ、ヨロヨロとおぢゃぬに向かって行った。しかし、もう4人にはエネルギーが無く、どんなワザを繰り出すこともできないのだ。その時である!
「MAX!MAX!MAX!…」
崩れた屏のガレキの山に、千人の生徒達が手を繋ぎ、すべての想いを込めて、MAXに声援を送り始めた!
「MAX!!MAX!!MAX!!…」
その声援がパワーとなり、4人の体に少しづつ蓄積されていった。
「ひとりひとりのパワーはまだ足りないけど、4人で力を合わせれば、あのワザが出せるかも…」
りっちゃんマンが言った。
《第20章》「エネルギーMAX!!」
4人は手を繋いだまま、スーパーおぢゃぬマンに向かい、全身の気を集中した。
「…まだ足りないわ…」
ナナさんマンが苦しそうに言った。ミナコマンが生徒達のほうを振り返り叫んだ。
「み゙ん゙な゙ぁ゙~!!も゙っど愛゙を゙~!!」
生徒達の声援が、ひと際大きくなった。
「MAX!!MAX!!MAX!!…」
知らないうちに、近所の人達も集まって来て、一緒に声援を送り始めた。
「MAX!!MAX!!MAX!!…」
魚屋のおじさんやスーパーの店長さんから、買い物をしていた近所のオバサンや町一番のお年寄りのおばあちゃんまで、町中がひとつになって、MAXに声援と言うエネルギーを送り始めた。
「MAX!!MAX!!MAX!!…」
《第21章》「スーパーおぢゃぬマンの最後」
「おぢちゃんとぉ~あちょんでぇ~♪」
おぢゃぬの数百本の触手が、一斉にシュルシュルと4人に襲いかかって来たっ!!
「今よ~!!」
りっちゃんマンが叫んだっ!!4人は腕をクロスさせ、みんなから貰ったすべてのエネルギーを発射させたっ!!
「ラブラブファイヤーーーーッ!!」
伸びてくる触手の束を焼き払いながら、真紅の炎が一直線に、おぢゃぬの本体に向かって進んで行く。
「おぢゃぁぁぁぁぁぁ~!!」
おぢゃぬの体が炎に包まれ、ムラサキ色の煙を上げて溶けて行く。
「…も…お…だ…め…だ…ぢょ…ぉ…」
ドス~~~ン!!
巨大化した体が、スローモーションのように、校庭の真ん中に倒れた。おぢゃぬはどんどん溶けていき、元の大きさに戻ったまま、動かなくなった。
《第22章》「勝利の時」
その瞬間、茫然と立ち尽くすMAXの4人に、ずっと見守っていた町中の人達から、ものすごい歓声が上がった。
「やったね♪」
れいれいマンが笑顔で言った。
「あれ?」
空を見上げていたりっちゃんマンがつぶやいた。遥か上空から、1枚のパンティーがヒラヒラと舞いおりて来たのだ。そして、今度はブラジャーが…。続いて1枚、また1枚と、おぢゃぬに取られていた生徒達の下着が、次々と舞いおりて来る。おぢゃぬの呪縛から解き放たれた下着は、自由の身となったのだ。校庭を埋め尽くした数百枚の下着を夕日が照らし出し、それはまるで、黄金の草原のようであった。その金色に輝く下着の真ん中に、静かにたたずむりっちゃんの姿が…。
《第23章》「そして伝説へ」
割れるような大歓声の中、町一番の長老のおばあちゃんが、ブルーの衣装のりっちゃんマンを見つめながら、目に感動の涙を溜めて言った。
「そ~の~者~青き衣をまといて~金色(こんじき)の野に降り立つべし…うぉぉぉぉ…あの言い伝えは本当だったのじゃぁぁぁ…」
…おぢゃぬの亡骸(なきがら)は、市役所の職員の手によって、飯能市にある祠にまた元通りに封印され、埼玉県に平和が戻った。しかしその頃、エネルギーを使い果たして飛べなくなり、電車で帰ったMAXの4人は、南武線に乗り替えたところで爆睡してしまい、今まさに、武蔵溝ノ口を過ぎようとしていた。ここでまた、新玉川線に乗り替えなのに。時計の針は夜の7時を回っていた。
…今日はテレ朝のMステである。そして、もちろんナマである(キートン山田) ひとまず終わり(笑)
《おまけ》「りっちゃんマン誕生秘話」
あたしのHP『れいなの楽屋』の本館があるroomsと言うサイトに、ぱぴぃちゃんと言うHN(ハンドルネーム)の女の子がいる。名前から分かるように、りっちゃんファンだ。(※パピーはリナの愛犬の名)ぱぴぃちゃんのHPの掲示板で、バカらしいことをカキコしてるうちに生まれたキャラクター、それがりっちゃんマンだ。おヒマな方は、ぱぴぃちゃんのHPに遊びに行って、日記なんか読んじゃったりすると、この作品を何倍も楽しむこと受けあいだ。そしてroomsには、なななんと『おぢゃぬ』こと『まさひろ』のHPもある!まさひろは、ハワイアンと同じく、ヤツハシ~ナファンだ!(笑)二人とも、あたしの本館のトップページの1番下の『広場』から『みんなの部屋』⇒『サーチ』で『ぱぴぃちゃん』『まさひろ』と入力すれば、HPにアクセスできる。…間違っても『おぢゃぬ』と入力しないでほしい(キートン山田)(爆)
《次回の予告》
MAXの活躍により、完全に封印されたはずの『変態大魔人おぢゃぬ』は、静かに復讐の時を待っていたぁ!
戦慄の第二部は、近日中に連載開始か?(笑)
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