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2018.03.11

東日本大震災から7年を迎えて

今日、2018年3月11日で、東日本大震災の発生と、これに伴う福島第1原発事故から7年を迎えました。この大震災では、1万8446人が死亡、行方不明になりましたが、このうち2539人は未だに行方不明のままで、今も捜索が続けられているのです。また、福島第1原発事故による放射能汚染のために強制的に避難されられた住民を含む避難者は、現在も7万3000人以上います。

犠牲になった方々のご冥福を改めてお祈りするとともに、大切なご家族やご友人を失った方々、今も辛い避難生活を続けている方々に、改めてお見舞い申し上げます。

そして、もうひとつ、忘れてはならないのが、大震災では一命を取りとめたのに、その後の長く続く避難生活の中で、持病を悪化させて亡くなってしまった人たちや、将来に何の希望も持てなくなって自らの命を絶ってしまった人たちです。こうした死亡者の中で、震災が原因として「震災関連死」に認定されたのは、昨年2017年9月30日までに、1都9県で3647人と報告されています。そして、この内わけを見てみると、とても悲しい現実が見えてくるのです。

被害の大きかった東北3県の震災による死者と行方不明者は、岩手県が5795人、宮城県が1万770人、福島県が1810人です。しかし、震災では一命を取りとめたのに、その後、亡くなってしまった「震災関連死」は、岩手県が464人、宮城県が926人なのに対して、福島県は2202人と飛び抜けて多いばかりか、震災での犠牲者数を上回ってしまっているのです。また、この「震災関連死」の中の自殺者の人数も、岩手県が48人、宮城県が53人、福島県が99人と、やはり福島県が突出しているのです。

これは、言うまでもなく、福島第1原発事故による放射能汚染が最大の原因なので、「震災関連死」というよりも「原発事故関連死」と呼ぶべきものだと思います。国が「安全だ」と繰り返して推進してきた原発が大事故を起こし、生まれ育った美しい村や町や畑や野山が放射能汚染され、強制的に避難させられた多くの人たち。そして、自宅周辺の除染が済んだからと、広大な野山は汚染されたままなのに避難解除され、戻ってみると村や町のあちこちに高濃度放射性廃棄物が詰められたフレコンバッグの山‥‥。

いくら政府が避難解除をしたからといって、放射性廃棄物が詰められたフレコンバッグの山の前で小さな子どもたちを遊ばせられる親はいないと思います。一昨年、制限地域の中を取材したフリーランスの記者によると、山積みのまま放置されているフレコンバッグの中には、破れて中身が流れ出ていたものも複数確認できたそうです。これらのフレコンバックに詰められた膨大な量の放射性廃棄物は、双葉町と大熊町に建設中の東京ドーム18個ぶんもある「中間貯蔵施設」に搬入され、30年以内に県外の最終処分場へ移す計画ですが、その目途は立っていません。

これまで、東日本大震災の被災地の復興のために計上されてきた毎年の予算は、ほぼ半分に当たる約45%が、この「中間貯蔵施設」の建設費や放射性廃棄物の処理など、原発事故の後始末のために使われています。たとえば、今年2018年度の復興予算は前年度比10%減の1兆6357億円ですが、この内わけは、「被災者支援」が863億円、「住宅再建・復興まちづくり」が7064億円、「産業・なりわいの再生」が1015億円、「原子力災害からの復興・再生」が7258億円なのです。そして、この「原子力災害からの復興・再生」の内わけを見てみると、「中間貯蔵施設の整備」が3210億円、「放射性廃棄物処理」が1445億円、「除去土壌の管理・搬出」が1243億円で、この3点だけで大半を占めているのです。

もちろん、中間貯蔵施設が完成しなければ、各地に山積みされている放射性廃棄物の詰まったフレコンバッグが片付かないのですから、施設の建設は少しでも早く進めなければなりません。しかし、その一方で、原発事故の後始末に予算の約半分が使われているため、「被災者支援」はその10分の1、「産業・なりわいの再生」もその7分の1の予算しかなく、被災した自治体の大半は復興予算が不足しているのです。

一例として、宮城県の仙台市では、今年2月、2017年度以降の東日本大震災からの復興事業費の一部が復興関連基金で賄えず、事業がほぼ完了する2020年度までに一般財源から約70億円を負担する見通しだと発表しました。仙台市によると、不足するのは主に「津波による被災者への再建支援金」などだそうです。これはほんの氷山の一角で、多くの自治体が予算不足と人手不足を復興が遅れている原因にあげているのです。

2020年の東京五輪は、被災地の復興を加速させるための「復興五輪」というキャッチフレーズが掲げられていますが、先日、毎日新聞が東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県、宮城県、福島県の42市町村に「復興五輪」についてのアンケートを行なったところ、事前キャンプの誘致やホストタウンの登録などに意欲を示した自治体は10市町村にとどまり、すでに誘致や登録を済ませた4市町と合わせても全体の約3割だったそうです。残りの7割の市町村は、「復興の途中で五輪に取り組む余力はない」「人手不足で全国から職員派遣を受けている状況なので対応できる余力がない」など、態勢の不備、財源不足、人手不足などを理由にあげたそうです。

また、これは3月9日付で東北の地方紙だけで報じられたニュースですが、「岩手県は東日本大震災で被災した沿岸市町村で復興関連業務に携わる応援職員が2018年度に65人不足する見通しだと発表した」という記事がありました。このような状況の自治体では、震災から7年が過ぎた今でも、とても五輪どころではないのだと思います。

しかし、現場では予算が足りずに復興が進まない自治体、とても五輪どころではないという自治体が7割もあるのに、復興予算は余っているのです。たとえば、復興庁の発表によると、2016年度には総額4兆6345億円の復興予算のうち、約36%に当たる1兆6735億円が使われずに余り、翌年度に繰り越されました。また、全国民の所得税や住民税に上乗せされている「復興増税」は10兆円以上もあるのです。

こんなに予算が余っているのに、どうして必要としている自治体に届いていないのでしょうか。そして、それだけでなく、被災地とまったく関係のない地域に、この復興予算がバラ撒かれているのです。たとえば、被災地のガレキの処理を行なった時など、東京都ふじみ衛生組合や大阪府堺市を始め全国の10の自治体が、ガレキを1トンも受け入れていないのに数億円から数十億円もの補助金を受け取っているのです。大阪府堺市は約86億円もの補助金を受け取っていますが、これをそのまま被災地である仙台市へ回せば、仙台市は不足している「津波による被災者への再建支援金」をまかなえたのです。

順調に復興が進んでいる地域も多いですが、未だにガレキが山積みになっている手つかずの地域もあります。被災地では「復興格差」が起こっているのです。そして、これはすべて、予算不足と人手不足が原因なのです。予算は余っているのに、それが必要としている人たちの元に届いていない。それなのに、東京では五輪に浮かれていて、「復興五輪」などというキャッチフレーズで体裁をつくろっている。あたしは東京都民の1人として、本当に恥ずかしいです。どうか、大切な復興予算が、必要としている人たちの元へ正しく届けられ、少しでも被災者ひとりひとりに寄り添った形で復興が進みますように、あたしは願ってやみません。


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