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2018.03.28

回転ベッドで愛を叫んだ昭和のラブホ事情

1年ほど前から、メルマガ『ゆっこ&きっこの言いたい放題 MAX!』の原稿のほうが大変になり、このブログの更新が月に1回か2回くらいになってしまっていて、こんなことじゃいけないと思ったのもトコノマ、なかなかブログを更新できない日々が続いている。そこで、こういうのって反則かもしれないけど、メルマガの中のあたしのエッセイのコーナー『きっこ温泉(源泉かけ流し)』に書いた原稿の中から、ブログでも紹介できそうなエントリーを加筆、修正して、このブログに、順次、アップしていくことにした。

原稿自体は1年以上も前のものだし、メルマガの購読者の皆さんはすでに読んでいるものだけど、加筆、修正することで、新たに楽しんでいただけるように工夫してアップして行くので、どうぞよろしく!‥‥というワケで、まずは、こんなエントリーから行ってみよう!


昭和40年くらいから50年ごろまで、全国のラブホ(ラブホテル)には、たいてい回転ベッドがあったそうだ。回転ベッドというのは、今さら説明の必要もないと思うけど、鏡張りの部屋の真ん中に丸いベッドがあり、スイッチをオンにすると、ゆっくりと回転を始めるものだ。ようするに、自分たちがセックスしている様子を、鏡を通して見ることができるワケで、それが回転しているワケだから、いろんな意味で遊園地気分を味わえたんだと思う。

もちろん、激安のラブホや和風の連れ込み旅館には設置されていなかったけど、一定のレベル以上のラブホには、ほとんど回転ベッドのある部屋があったそうだ。すべての部屋には設置されていなくても、たとえば、20室あるラブホなら、そのうちの5室が回転ベッド付きで、他の部屋よりも料金が少し高く設定されていたようだ。

何で、あたしが「あったそうだ」とか「されていたようだ」とか書いてるのかというと、あたしがラブホを利用する年齢になった時には、すでに東京や東京近郊には回転ベッドのあるラブホは数えるほどしか残っていなくて、リアルタイムでは体験していないからだ。どうして、あたしの時代には回転ベッドがほとんどなくなってしまったのかというと、1984年の風営法改正で、回転ベッドや1平方メートル四方を超える鏡などを設置しているホテルを「ラブホテル」と定義して、学校、病院、公園などの周辺での営業が禁止されてしまったからだ。

そのため、それまで鏡張りの部屋に回転ベッドを設置していたラブホの中で、周辺に学校や病院や公園がある場合は、そのままの形態では営業ができなくなり、仕方なく鏡張りと回転ベッドを撤去して、「ラブホテル」ではなく「旅館」として申請し直すしかなかった。そのため、実際にはラブホなんだけど、旅館として申請・登録している「偽装ラブホ」がはびこるようになった。だから、あたしがラブホを利用するお年頃になって、その時のカレシだったり、酔ったイキオイで男友達とだったり、たまには女友達とだったりと、東京や東京近郊のラブホを利用してたけど、その大半は「偽装ラブホ」だったんだと思う。

当時のあたしは、とにかくラブホが大好きで、女友達と遊ぶ時も、よくラブホを利用していた。トートバッグタイプのクーラーバッグを持って行き、ラブホの近くのコンビニで缶ビールやウイスキーや炭酸や氷やおつまみ類を買い込み、親友と仲良くラブホへ向かう。たいていのラブホは、電気ポットが常備されていて、日本茶や紅茶のティーバッグくらいはサービスで置いていたけど、冷蔵庫の中のジュースやビールはすべて有料だし、電話でフロントに注文すると持って来てくれる食べ物も有料だから、あたしはいつも持ち込みをしていた。

あたしがよく利用していた川崎のラブホは、朝10時から夜6時までのサービスタイムが4000円だったから、1人2000円だ。部屋に入ったら、大画面のモニターで無料の映画や好きなバンドのライブ映像を観ながら、とりあえず缶ビールで乾杯!そして、部屋に常備してあるコップを借りて、トリスとかの安物のウイスキーと炭酸と氷でハイボールを作り、おつまみ類を広げたら、あとはカラオケ大会だ。スプリングの効いた大きなベッドの上で、ピョンピョンとジャンプしながらブルーハーツの「リンダリンダ」を歌ったりして、2人でゲラゲラと笑い転げたりもした。そうそう、今、これを書いていて思い出したけど、家からエレキギターを担いでいって、カラオケマイクのジャックに繋いで弾きまくったこともあった(笑)

さんざん歌って踊って酔いもまわったら、今度はバスタブにお湯を溜め、狭いバスタブに向かい合って浸かり、バスルームに常備されている「泡風呂の素」をたっぷり入れて、ジャグジーのスイッチをオン!大量の泡がモコモコと盛り上がってきて、2人で泡まみれになって大ハシャギ!そして、クタクタになるまで遊んだら、今度は大きなダブルベッドに2人で横になり、ベッドに設置されている何百チャンネルもある有線放送の中から「ルーツレゲエ」のチャンネルをセレクトして、ボリュームを最大にして仰向けに寝転がる。そうすると、ベッドに内蔵されているスーパーウーハーがベースの音やバスドラの音で振動するから、まるでマッサージチェアみたいに気持ちがいい。

これだけ遊んで、これだけ楽しんで、それでも1人2000円。もちろん、買い込んで行ったお酒やおつまみは別料金だけど、それでも、どこかの娯楽施設に行くよりは遥かに安上がりだった。今でこそカラオケボックスには格安のサービスタイムとかがあるけど、当時、カラオケボックスはそこそこ高かったし、フリードリンクなんかなかったから、飲み物や食べ物をいろいろ注文すると、けっこうな金額だった。もちろん、飲み物や食べ物の持ち込みなんてできなかったから、こうしてラブホで遊んだほうが、ずっとお得だったのだ。その上、裸になって大騒ぎできたから、どこに行くよりも楽しかった。

でも、そんな便利なラブホも、その何割かは「偽装ラブホ」だったワケで、民主党政権下の2011年1月、またまた風営法改正で、さらに厳しい状況になってしまった。この時の風営法改正は、主に「偽装ラブホ」を取り締まることが目的だったから、ラブホの定義が大きく変更されたのだ。たとえば、どこのラブホにもある「入口の外にある料金表」、普通はみんな、この料金表を見て、どのラブホに入ろうか決めるよね。だけど、この料金表を掲げてるホテルは「ラブホテル」に定義されてしまうことになったので、これまでの「旅館」の登録じゃ営業できなくなったのだ。

あと、ラブホの中に入ると、フロントにはパネルに各部屋の写真が並んでて、それぞれに料金が表示されてて、空いてる部屋の中から気に入った部屋を選んでボタンを押すと、キーが出てきてそのままエレベーターで部屋に直行するワケだけど、これもダメになった。「旅館」として登録している場合は、ちゃんとフロントで係の人と対面してやりとりをしないとダメになり、これまでの非対面の方式は「ラブホテル」に定義されることになった。だから、周辺に学校や病院や公園などがないラブホなら、それまでの「旅館」の登録を「ラブホテル」に変更すれば、これまで通りに営業できるんだけど、周辺に学校などがあるために「旅館」の登録に変更して営業してきた「偽装ラブホ」は、それまでのような営業ができなくなってしまったのだ。

ちなみに、「旅館」の登録で実態がラブホの「偽装ラブホ」は、全国に約3万5000軒もあると言われている。そして、この2011年の風営法改正で、警察も積極的に摘発を始めたそうだ。だから、摘発される前に、ビジネスホテルに鞍替えした「偽装ラブホ」も多い。もちろん、表向きはちゃんとしたビジネスホテルだから、1人で宿泊もできるんだけど、それだけじゃ商売が成り立たないから、これまでのラブホ時代の客を繋いでおくために、昼間だけのショートタイムなどを取り入れてるビジホも多いそうだ。ビジホなのにショートタイムって、何だか本末転倒みたいな感じもするけど、アレだけが目的のカップルには、それなりに利用されているみたいだ。


‥‥そんなワケで、立地条件の厳しい東京周辺だと、あたしみたいにお金のない人のための安価で設備の整った「偽装ラブホ」は減り続けている。でも、せっかくラブホに行くんだから、ビジホに鞍替えしちゃったカラオケもない殺風景な部屋じゃなくて、できれば昭和のラブホ全盛期をホーフツとさせるような、鏡張りの部屋に回転ベッドがドーン!みたいなゴージャスな部屋に行きたいよね。今でも、地方都市に行けば回転ベッドのあるラブホはたくさんあるし、東京でも赤坂の「ホテル・シャンティ」のように、豪華絢爛な部屋に回転ベッドが設置されてるラブホもある。場所が場所だし設備も設備だから、お得なプランを使っても1万2800円くらいしちゃうけど、一度は回転ベッドを体験してみたいという人は、恋人と2人でグルグル回りながら、東京の真ん中で愛を叫んでみるのもいいかもしれないと思う今日この頃なのだ♪(笑)


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