終活リクエスト
ラジオが大好きなあたしが最もリスペクトしているラジオ・パーソナリティー、「金髪ロバ野郎」こと吉田照美さんは、現在67歳で、来年2019年1月23日のお誕生日を迎えると、ついに68歳、記念すべき「ロバ歳」になる。だから、来年の照美さんは、伊東四朗さんや石和温泉観光協会の保坂まゆみさんから「ロバ!」「ロバ!」といじられる前に、もはや自ら進んで「ロバ色」を強調した1年にしてほしいと思う‥‥なんて感じでスタートしてみたけど、67歳、68歳と言えば、世の中的には完全に「お年寄り」で、電車に乗れば40代や50代のおじさんおばさんから席を譲られてしまう年齢だ。
だけど、照美さんの場合は、180センチを超える長身だし、背筋もピンとしていてスタイルもいいし、髪もフサフサだし、派手なアロハシャツを着たりもするし、実際の年齢よりもずっと若く見える。サスガに髪は白髪が多くなって来たため、以前は白髪染めをしていたみたいだけど、それでもパッと見では実年齢よりひとまわり以上も若い「50代前半」に見えた。そして、今回の「人生初の金髪チャレンジ」によって、さらに若く見えるようになった。
分かる人にしか分からない喩えで申し訳ないけど、『じゃじゃ馬億万長者』のジェスロのような、「昭和のアメリカのホームドラマに登場する白人の若者」のような風貌になってしまったため、ブロンドのウイッグを着けた友近さんとコンビを組んでも違和感がないと思う。その上、照美さんは、高級住宅地に堂々と構える豪邸のゴージャスなバスルームの前の脱衣スペースに置いてあるのであろうタニタの体重計で、「体内年齢は50代前半」だと表示されたと文化放送『親父熱愛』の中で自慢しているので、見た目だけでなく体内年齢も若く、とても「お年寄り」とは呼べないと思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、もともと文化放送の局アナだった吉田照美さんは、フリーになってからも文化放送で長年、数々の帯番組を担当し、もうすぐ第一子を出産するムロリン(室 照美さん)との「ダブル照美」というコンビで4年も続けて来た『飛べ!サルバドール』の最終回、昨年2017年3月31日を最後に、36年半も続いて来た文化放送の帯番組から卒業した。そして、現在は、AMとFMの枠も超え、文化放送『親父熱愛』、bayfm『TERUMI de SUNDAY!』、JFN『Please テルミー!』、MBS『ザ・ヒットスタジオ』、全国AM9局『吉田照美の森羅万SHOW』などを始め、北から南まで縦横無尽に数々のラジオ番組で八面六臂の活躍を続けている。
もちろんテレビに出ることもあるけど、やっぱり照美さんの土俵はラジオなので、死ぬ時はラジオの生放送中に、マイクの前で前のめりに倒れて絶命してほしい‥‥だなんて、神田松之丞さんの十八番の「褒めDisり」のような言い回しをしちゃったけど、あたしは、照美さんのラジオ番組は聴ける範囲で聴いているし、どうしても聴けなかったものは後からラジコのタイムフリーで聴くほどのコアなファンになんだけど、そんな照美さんが、おとといの9月10日(月)、ニッポン放送『土屋礼央 レオなるど』に出演した。それも、ゲストとかじゃなくて、メインパーソナリティーの土屋礼央さんが夏休みなので、その代わりとしてのピンチヒッターで、番組表にもハッキリと『吉田照美 レオなるど』と書いてあった。
あたしは、照美さんがメインパーソナリティーをつとめるのなら、『吉田照美 レオなるど』じゃなくて『吉田照美 ロバなるど』にしてほしかった‥‥などと思いつつ、この日の午後は自宅にいたので、リアルタイムでニッポン放送『吉田照美 レオなるど』を聴いて楽しんでいた。そして、番組の後半の最後に、「自分のお葬式でどんな曲を流したいか」という「終活リクエスト」のコーナーが始まった。
すると、照美さんは、マイケル・ジャクソンが来日した時に、デパートの中で偶然マイケルと遭遇し、まだ小さかったユウキ君(照美さんの息子さん)がマイケルに撫でてもらった、そして、マイケルの履いていた靴がボロボロだった‥‥という、あたしたち吉田照美ファンなら完全に暗記している「百回話」を披露し、自分のお葬式ではマイケルの『ビリージーン』を流して欲しいと話したのだ。
あたしは、「ええっ?」と思った。だって、この『ビリージーン』って、それこそ大ヒットしたマイケルの代表曲の1曲には違いないけど、歌詞の内容が、とてもじゃないけどお葬式には向いてないからだ。ザックリ訳すと、ディスコでセクシーなダンスをしていた魅力的な女性、ビリージーンにひと目惚れした青年にとって、ビリージーンは一方的に片思いしているだけの「高嶺の花」だった。それなのに、出会いからしばらくしたら、そのビリージーンは子どもを産み、その青年に「この子の父親は貴方だ」と言って来た‥‥というものだ。
この青年は、ビリージーンと付き合ってもいないし、ましてやセックスなど一度もしていない。ようするに、父親が誰だか分からない子どもを産んでしまい、生活に困ったビリージーンが、自分に好意を持っていた青年に濡れ衣を着せて養育費をせしめようとしたワケだ。そして、この青年は、自分の無実を晴らすために裁判を起こし、4カ月も掛けて自分が父親ではないということを証明する。この一連の出来事について、「俺は最悪の女を好きになってしまったようだ」と、自分の男友達に愚痴っているのが、この歌の内容だ。
で、あたしがこのことを簡単にマトメて、「(自分のお葬式で流す曲が)ホントにこんな歌でいいの?」とツイッターに投稿したら、吉田照美さんご本人から「いいですよ。人生は、本当に理不尽ですからねえ。」というリプライをいただいた。まあ、ご本人が「いい」と言っているのだから、これ以上は他人が横からなんやかんやと言うべきじゃないけど、こういうことって凄く多い。
たとえば、今は9月になったばかりなので、いろいろなラジオ局のいろいろな番組で、竹内まりやさんの『セプテンバー』とか太田裕美さんの『九月の雨』とか、「9月」がタイトルに付いた曲がよく流れるけど、そんな中、ダントツでよく流れるのが、アース・ウインド・アンド・ファイヤーの『セプテンバー』だ。だけど、この曲って、ちゃんと歌詞を読めば分かるけど、9月の歌じゃなくて12月の歌なんだよね。12月に「9月のあの出来事を覚えてる?」と歌っているんだよね。もちろん、ラジオ番組で9月に流したって何も問題はないけど、この12月の曲が、まるで「9月を代表する曲」のようにあちこちの番組で流れるもんだから、あたしは「何だかな~」と思ってしまうのだ。
他にも、毎年、クリスマスになると、山下達郎の『クリスマス・イヴ』に次いでよく流れるワム!の『ラスト・クリスマス』がある。メロディーだけを聴いていればアップテンポの明るい曲だけど、この曲は、ラスト・クリスマス、つまり「去年のクリスマス」のことを歌っているワケで、それも、去年のクリスマスに自分の恋人に裏切られて失恋したというネガティヴな愚痴をグダグダと垂れ流しているだけの情けない歌なのだ。こんなの、クリスマスに聴きたいか?
‥‥そんなワケで、あたしの現在のお仕事のメインはブライダルのヘアメイクなので、年間に数十回、披露宴の現場に入る。ようするに、披露宴が行なわれている会場の隣りの控室に待機していて、相棒のスタイリストと一緒に新婦さんの着替えやヘアメイクを直すのが仕事だ。だから、毎回、その披露宴でどんな楽曲が使われているか自動的に聴こえて来るワケだけど、いつも現場に出ていると、「おいおい!こんな曲を使っていいの?」って思うことがあまりにも多い。
たとえば、けっこう多いのが『アメイジング・グレイス』だ。日本では若くして亡くなられた本田美奈子さんのカヴァーが有名だけど、壮大で心にしみる美しいメロディーが好まれるのか、披露宴で使われることが多い。もともとは讃美歌だから、そんなに変なことは歌っていないと思うのかもしれないけど、この歌って、奴隷船の船乗りだった男が、後に牧師になり、過去の自分の悪行を悔いている懺悔の歌なんだよね。サスガに直接表現は避けているから、歌詞の表面をサラッと読むだけならそれほどエゲツナイ表現はないけど、奴隷商人の懺悔の歌だと知った上で歌詞を読むと、とてもじゃないけど結婚式には向いていないと分かるだろう。
他にも、ひとつひとつ挙げていたらキリがないけど、浮気をして自分を捨てた男に恨みつらみを言っている女性の歌とか、自分の親友と二股を掛けられていた挙句に捨てられた男性の後悔の歌とか、いくら歌詞が英語で分からないからって、こういう曲を自分の結婚式で流すカップルたちのあまりの多さに、あたしはけっこう驚いている。だって、たとえ英語が分からなかったとしても、一生に一度の自分たちの結婚式に使う曲なんだから、事前に歌詞の意味くらい調べるのが普通だと思うからだ。
‥‥そんなワケで、話はクルリンパと戻って、吉田照美さんがマイケル・ジャクソンの『ビリージーン』を選んだ「終活リクエスト」だけど、あたしならどんな曲がいいかな~って考えてみた。そして、いろいろと悩んだ結果、フェイ・ウォンの『夢中人』に決めた。あたしの大好きな曲のひとつなので、このブログでもツイッターでも何度も書いているけど、あたしの大好きな香港映画、ウォン・カーウァイ監督の『恋する惑星』(1994年)の中で、この映画がデビュー作だった若き日のフェイ・ウォンが歌っているカヴァー曲だ。
この曲のオリジナルは、アイルランドのバンド、ザ・クランベリーズの『ドリームス』で、こちらは、トム・ハンクスとメグ・ライアンのラブコメ映画、ノーラ・エフロン監督の『ユー・ガット・メール』(1998年)の主題歌に使われている。つまり、フェイ・ウォンのカヴァー曲のほうが先に香港映画に使われて、その4年後に、オリジナル曲がアメリカのラブコメ映画に使われたってワケだ。
ま、そんなことはどうでもいいけど、あたしが自分のお葬式で流して欲しい曲に、オリジナル曲じゃなくてカヴァー曲のほうを選んだのは、この2曲、歌詞の内容がずいぶん違うからだ。そもそも、原曲を知らなかったあたしは、最初に映画『恋する惑星』を観て、フェイ・ウォンの歌う『夢中人』を大好きになり、どうしてもCDが欲しくていろいろと調べているうちに、ザ・クランベリーズの『ドリームス』のカヴァーだということを知り、後から原曲を聴いたのだ。
最初にフェイ・ウォンの歌うカヴァー曲のほうを聴いたあたしは、広東語なんてチンプンカンプンなので、歌詞の意味はぜんぜん分からなかった。だけど、メロディーの美しさと、この曲が使われている映画の場面から、ラブソングなのだということだけは感じ取っていた。そして、後からザ・クランベリーズの原曲を聴いたら、こっちは歌詞が英語だった上に、たいしたことは言っていない単純な内容だったので、すぐに大意が理解できた。ザックリ言えば、恋に落ちた女性が、自分の愛する男性を「自分の夢」だと歌っているオノロケの歌だ。そして、広東語がまったく分からないあたしは、フェイ・ウォンの歌う『夢中人』の歌詞も、原曲の歌詞を広東語に訳しただけのものだと思い込んでいた。
でも、ずいぶんしてから、『夢中人』の広東語の歌詞と日本語の対訳が手に入り、あたしは、ホントの意味を知ることができた。こちらの歌詞は、作詞家で香港のラジオ局のディレクターでもある周礼茂(シャオ・リマオ)さんが書いたもので、原曲の歌詞をベースにしながらも、相当なオリジナリティーが盛り込まれていたのだ。シャオさんは、この曲の訳詞を書く前にも、フェイ・ウォンに「退屈なコーヒー」「静かなクラリネット」「ロマンティック・ストーム」「幸せな涙」など、多くの詞を提供しているので、この訳詞では、歌い手であるフェイ・ウォンのことをよく知った上で、彼女の感性に沿うように書いたのだと思う。そして、この広東語の歌詞の意味を知ったあたしは、冒頭からシビレまくった。
フェイ・ウォンの透明感のある美しい歌声が、胸いっぱいに浸透して来るように感じられる歌い出しの歌詞、「夢中人 一分鍾抱緊 接十分鍾的吻」は、日本語の対訳には「夢の中の人よ、1分間だけ抱きしめて、10分間のキスをして」と書かれていたのだ。何という萌え萌え具合だろう。一方、原曲の歌い出しを直訳すると、「日々、変化し続けている私にはいろいろな可能性がある。だから私の夢はハッキリとは見えて来ない」と歌っている。
で、原曲のほうは、ここから「私は恋に落ちた」→「あなたが私の夢になった」という流れで進んで行き、その合間合間にオノロケの言葉が織り込まれている。でも、この歌詞をベースにして広東語の歌詞を書いたシャオさんは、冒頭から「夢の中の人よ、1分間だけ抱きしめて、10分間のキスをして」とカマしてくれたのだ。あまりにもワンダホーすぎる!
ちなみに、原曲の英語の歌詞の中には、「1分間の抱擁」や「10分間のキス」などという言葉はいっさい出て来ないので、この部分は完全にシャオさんのオリジナルであり、フェイ・ウォンの感性を踏まえて書かれたものだと思う。ホントは対訳をすべて紹介したいんだけど、こうしたブログでも一般にリリースされている楽曲の歌詞を勝手に書いたりすると面倒くさいことになるので、どうしても全文を読んでみたい人は、自力で何とかしてほしい。
‥‥そんなワケで、あたしの「終活リクエスト」は、取りあえずフェイ・ウォンの『夢中人』に決定したけど、歌詞の内容を考えると、これだって『ビリージーン』と同じでお葬式には向いていない。身も心も溶けちゃうようなラブソングなのだから、どちらかと言えば結婚式向きだ。でも、結婚もしていないし子どももいないあたしの場合、このまま普通に生きて行けば、どうしても先に母さんが亡くなり、あたしは「天涯孤独」になってしまう。そして、たった1人で死んで行くことになる。だから、せめて、最後にお葬式で流す曲くらい、夢の中で愛する人に抱きしめてもらい、キスしてもらい、文字通りにそのまま「昇天」したいと思った今日この頃なのだ(笑)
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