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2023.01.01

新年、明けましておめでとうございます♪

皆さん、新年、明けましておめでとうございます♪

 

Nj11

今年も新年のミニ連句「歳旦三つ物(さいたんみつもの)」を詠みました。


歳旦三つ物
初空や海をめざしてダットサン
サーフボードもテントも初荷
ランドセル大きく春へ跳びはねて
きっこ


俳句は本来、自分の句を自分で解説することは野暮なのでNGなのですが、俳句を勉強していないと意味の分からない言葉や言い回しもありますので、今年も簡単に説明させていただきます。

まず、最初の五七五の「発句(ほっく)」の「ダットサン」は、日産自動車の源流の自動車名です。大正3年(1914年)、快進社が開発した乗用車は、金銭的支援者である田(でん)健治郎、青山禄郎、竹内明太郎の頭文字「D、A、T」に、「速さ」を意味する「脱兎のごとく」をカケて、「脱兎号」と名づけられました。その後、快進社は「ダット自動車商会」となり、他の自動車製造会社と合併するなどして、昭和5年(1930年)に完成した小型自動車が、「ダットの息子」を意味する「DATSON(ダットソン)」と名づけられました。

その後、「ダットソン」の「ソン」が日本語の「損」に聞こえるとの理由から、「太陽」を意味する「SUN」に改められて「DATSUN(ダットサン)」となり、日産自動車が誕生してからも、ダットサントラックなどのブランド名として残ったのです。そのため、現在は「ダットサン」というと「日産自動車の小型トラック」を思い浮かべる人がほとんどになりました。今回の発句は、仕事用のダットサントラックではなく、趣味でおしゃれに改造して乗っているホットロッドやローライダーのダットラ(ダットサントラック)をイメージしました。

「初空(はつぞら)」は「初御空(はつみそら)」とも言い、お元日の大空を指す新年の季語です。ピカピカに磨き上げた愛車のダットラで、新年初のプチドライブを楽しんでいる若いカップルをイメージして詠みました。あたし自身、長いこと多摩川を渡れば神奈川県という世田谷区の二子玉川に住んでいたので、若い頃は、お元日と言えば友だちの車で湘南や伊豆の海へドライブするのが定番でした。深夜のうちに出発して初日の出が見られる富士山へ向かうというコースは、暴走族の皆さんの独壇場だったため、あたしたちは反対方向の海を目指したのです。

二番目の七七の「脇」の句は、昔なら荷車、今ならトラックなどで、仕事始めに運ぶ「初荷(はつに)」が新年の季語です。一般の企業などは三が日をお休みにし、四日が仕事始めというところが多いと思いますが、輸送業、ことにルート配送などは、なかなか連休を取ることが難しく、だいたいお元日だけ休んで二日から仕事とか、人によっては年末年始も通常通りというケースもあります。

この句は、長引く新型コロナ禍によって、キャンプなどアウトドアのレジャーが再流行している昨今を踏まえ、新年の初荷として「サーフボード」や「テント」など夏のレジャー用品を運搬している景をイメージしました。しかし、発句に添わせて読むと、若いカップルの乗っているおしゃれなダットラの荷台に、愛用のサーフボードやウエットスーツが積まれているようにも感じられます。そして、その隣りには、テントや寝袋など、愛用のキャンプ道具も積んであるのです。

彼氏はウエットスーツを着て真冬の海に入るほどサーフィンが好きですが、彼女はサーフィンをしません。初詣も兼ねたお元日のドライブなのに、彼氏一人がサーフィンに興じていては、彼女はへそを曲げてしまうかもしれません。そこで彼氏は、山側のキャンプ場で彼女と仲良く過ごすという、第二の選択肢のための道具も荷台に積んでいたのです。名づけて「二兎を追う作戦」です。ここで「兎」とつながるわけですが、作戦名の通リにならないことを祈ります(笑)

最後の五七五の「第三」は、発句と脇から大きく飛躍した春の句です。発句と脇が「新年のおめでたい景」を詠むのに対して、第三は「春の希望」を詠む決まりです。「ランドセル」は小学生の象徴ですが、続く「大きく」は「跳びはねて」だけでなく「ランドセル」にも掛かっており、ランドセルが大きく見える小学一年生、新入生をイメージさせています。大きなランドセルをカタカタ鳴らせながら、兎のように元気に跳びはねる新入生たち、どの子の瞳も夢と希望がキラキラと輝いています。そして、あたしたち大人にとっても、子どもは希望の光なのです。

少子高齢化が言われ始めてから三十年、日本政府は掛け声だけで有効的な対策は何ひとつ講じて来ませんでした。日本と同じく三十年前、少子化が問題視された欧州各国は、ひとり親であっても、結婚している家庭と同じ子育て支援が受けられるように法整備しました。その結果、多くの国々で「結婚する気はないが子どもはほしい」という女性たちが次々と子どもを産み、フランスでは出生率が1.4から1.9まで回復しました。しかし、家制度にこだわる自民党政権は、こうした欧州の成功例を見て見ぬふりし続け、今も出生率・出生数ともに減少し続けているのです。

日本の子どもの貧困率は先進国の中では最下位で、特に、ひとり親世帯は半数を超える約6割が貧困だと言われています。民主党政権時代にはゼロだった「子ども食堂」も、この10年の自民党政権で全国に6000カ所を超えました。あたしは毎週木曜日、近所のお寺がやっている「子ども食堂」のお手伝いに行っていますが、1日3食を食べられない子どもが、身のまわりにたくさんいるのです。

岸田文雄首相は増税や借金をしてまで5年間の防衛予算を43兆円に引き上げると宣言しましたが、この予算の100分の1、わずか4000億円があれば、全国の公立の小中学校の給食を無償化できるのです。給食が無償化になれば、どれほど多くの貧困家庭の子どもが救われるか、為政者たちにはそれを考えてほしいと思います。

最後にもう一度言いますが、子どもは希望の光であり、それは日本の未来の光なのです。どうか日本の未来のためにも、ミサイルより子どもたちの食事を優先する国になってほしいと願っています。


‥‥そんなわけで、今年もまた終わりの見えない新型コロナ禍で迎えた新年ですが、あたしは、それでも希望の灯を絶やさずに、今年も日々を大切に生きて行きたいと思います。皆さんも、昨年より少しでも良い年になりますように、心より祈念しております。


令和五年一月一日 きっこ拝

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